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「トンマッコルへようこそ」 [映画(2006)]

「トンマッコルへようこそ」オリジナル・サウンドトラック幾つかのブログで僕も大好きな名作『まぼろしの市街戦』との類似性(悪く言えばパクリ)が書かれていたのを読んで、ならば内容的に優れている作品になっているのではと期待して観に行った。

確かに戦争中に桃源郷とも思える場所に彷徨いこむ設定と知恵遅れの女の子のキャラクターはかなり影響を受けていると思える。さらに言えば村での生活は『刑事ジョン・ブック 目撃者』的だし、村の様子は中央が広場になっている所など『七人の侍』の農村みたいで、同じ黒澤の『』や宮崎駿の雰囲気もある(『ドクタースランプ』のペンギン村みたいでさえある)。

しかし、それがこの映画の価値を貶めるものではない。過去の素晴らしい作品から影響を受けるのは当然であって、それらを上手く吸収してオリジナルの素晴らしい作品に作り上げたパク・クァンヒョン監督の手腕は絶賛に値する。間違いなく今年公開された映画の中で重要な一本である。

物語は朝鮮戦争真っ只中、韓国軍の脱走兵2名(シン・ハギュンら)、北朝鮮人民軍の敗残兵3名(チョン・ジェヨンら)と連合軍のアメリカ人飛行機が墜落して怪我をした飛行士が1名、導かれるようにトンマッコル村に集まる。始めは一触即発であったが、トンマッコル村の素朴でお人好しな人々に囲まれて過しているうちにお互いの気持ちがほぐれ始め、次第に友情が芽生えていく。平和に過ごし始めた6名であったが、行方不明になっている飛行士が撃ち落されたと思った連合軍が動き始め…。

この映画は「願い」の映画なのだと思う。殺伐とした現実の中に非現実の理想郷を提示することでファンタジーを利用して作者の思いを表現している。「どうして人は憎しみ合う必要があるのか」「心を開き合えば簡単に仲良くなれる筈なのに」「理解しあえれば今よりずっと素晴らしい日々が過ごせるのに」そんな願いが伝わってくる。もちろん一番の願いは朝鮮半島の北と南の問題ではあるが、それは地球上全ての国に当てはまる事であろう。

甘っちょろい理想論と言う人がいるのかもしれないが、理想が無ければ何も変わらない。声高にテーマを語らない問題作『トンマッコルへようこそ』はぜひ多くの人に観てもらいたい作品だ。


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コメント 6

キキ

この映画、私も気になってました。友人から泣けたとメールをもらいましたし。
音楽が久石譲と聞いただけでいいですね。反戦映画なんですよね。
by キキ (2006-11-22 21:37) 

丹下段平

反戦映画ですが、それ自体を前面に出してはいません。結果的に悲劇ですが暗い作品ではなく、ちょっと不思議な感覚です。上映期間もそろそろ終わりに近づいてると思われますので、急がないと見逃してしまいますよ。かなりお薦めできる作品です。
by 丹下段平 (2006-11-23 01:17) 

キキ

お勧めなんですね。では行ってきます!!
by キキ (2006-11-23 16:34) 

丹下段平

是非感想を聞かせてくださいね。
by 丹下段平 (2006-11-23 17:44) 

kimion20002000

TBありがとう。
「甘っちょろい理想論」だけが、たぶん、知ったかぶりの権力者やマスコミを超えて、現在、世界で唯一の根源的な思想になると思います。
マスコミ的なあるいは党派的なヒューマニズム礼賛は、僕は、全部ダメだと思っています。
by kimion20002000 (2007-03-11 11:34) 

丹下段平

kimion20002000さん(長い名前ですね)、コメントありがとうございました。
理想論に少しでも現実が近づいてほしい、世界中の多くの人の願いでしょうが、実現には程遠い。ほんの一握りの人達の私利私欲のために世界は良くならないのか。それに宗教なんかが絡んで、またややこしいことに…。
いろいろ考えさせてくれるこのような映画は貴重です。
by 丹下段平 (2007-03-11 18:17) 

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