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「地獄」(中川信夫) [映画-DVD]


地獄
若い頃に観て感心しなかった映画であったのだが、量販店でこのDVDを見かけた瞬間、突然観直してみたい気分になり、衝動的に購入してしまった。若い時分は今よりもずっと真面目、というか融通が利かなかったので、この手の作品は苦手だったが、ずいぶんといい加減になった今なら受け入れられるかもしれない、という自分自身に期待しながらモニターに向かった。

冒頭、製作会社である新東宝のマークがど~んと出るのだが、真っ赤な背景に安っぽい社章。さらにその周りを金の塵のようなものが渦巻いている。最初にこれを観た時に、まだ本編が始まっていないのに、かなりの衝撃を受けたことを思い出す。あまりにもキッチュ、あまりにも悪趣味。と、本編が始まる前に、既に衝撃を受けていたのだが、タイトルクレジットになると一変、半裸女性の悩ましいポーズが映し出される。その妖しげなこと。もう最初からこの映画はキワモノですよと言っているかのよう。これから始まるエロ・グロ・ナンセンスな世界観を言い表している。

本編が始まると暗く重苦しいムードになる。最初に観た時にはこれに嫌悪感を覚えた。主人公の大学生(天知茂)が、その同級生(沼田曜一)によって人生設計が目茶目茶にされていき、遂には殺されて地獄行き。そして様々な責苦を味わう、と簡単に言えばこんな話。とにかくこの映画が凄いのは、

登場人物のほとんどが死ぬ

という戦争映画以外有り得ない展開を見せること。そしてみんなで地獄めぐり。もうムチャクチャ。この地獄の様子も現代のCGと違ってアナログ感漂うもので、それがチープなんだけど変な迫力に満ちている。まるで

廃れた温泉街にある秘宝館に誤って入ってしまった

かのような感覚である。安っぽい展示物にただ笑うしかない、そんな感じ。

こんな作品を負のオーラに包んだのが、役者の怪演である。主人公を絶望のどん底に落とし入れる友人役の沼田曜一が凄い。この映画の異常なトーンは彼の功績が大である。本当に嫌悪感を抱く異常さが作品の原動力であることは間違いない。それを受ける天知茂は暗さを醸し出している。彼を観ているだけで憂鬱がうつってくる。悲惨もここまでくれば立派なもの(?)である。彼らを取り巻く役者達もみんなヘンで、異様な雰囲気をさらに盛り上げてくれる。

最初に観た時は大嫌いな映画であったが、こうして観直すとなかなか面白かった。悲惨もここまでくれば滑稽に思えてくる。まぁ、物好きな人は観てみてはいかが?

最後にこの映画を一言で言い表せる言葉が見つかった。それは

究極の胡散臭さ

地獄.JPG
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アートフル ドジャー

そう言う作品ってありますね~、確かに。僕も駄目!って酷評しながら2・3度目観たら意外に気に入った!ちゅう作品多数。いい加減です。
by アートフル ドジャー (2008-04-21 09:43) 

丹下段平

何でしょうかね、こんな感覚。
いい加減になったのか許容範囲が広がったのか? 若い頃は「映画はこうじゃなくちゃ」ってのがありましたが、今は「これもありかな」と思うことが多くなりました。
by 丹下段平 (2008-04-21 23:09) 

nexus_6

お久しぶりです。昔TVで観ました。
杜撰な編集と早すぎる展開に加え、あまりにもパカスカと簡単に人が死んでいくので怖いというより滑稽に感じてしまいましたが、何か全編にギラギラ感が漲っていて、出演者の怪演ぶりは見事です。沼田曜一氏は「きけ、わだつみのこえ('50東横映画)」(未見)が代表作の筈ですが、世間的にはこっちの印象が強くなってしまったかも知れません。
中川信夫監督はノリノリで撮ったものの、社長の大蔵貢にこっぴどく怒られたそうです。
近年の映像作品で口が「どアップ」の描写を時々観かけますが、あれはやはり「地獄」へのオマージュなんでしょうか。



by nexus_6 (2008-04-25 01:57) 

丹下段平

nexus_6さん、お久しぶりです。niceとコメントありがとうございます。
沼田曜一氏は多分他の作品でも観ているのでしょうが、印象に残るのはこの映画ってことになるんでしょうね。
大蔵貢に怒られたってのは知りませんでした。新東宝にピッタリな映画だと思うんだけどなぁ。
by 丹下段平 (2008-04-25 07:55) 

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