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「ヤングゼネレーション」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

ヤング・ゼネレーション [DVD]いわゆる「青春映画」と呼ばれる作品を好きになれるかなれないかは、ほとんどの場合主人公を好きになれるか否かで決まってしまうような気がする。その主人公の中に自分に近い要素が入っていれば尚更親近感が沸き、他人の物語という気がしなくなってくる。そうなったら大したことが起こらなくてもスクリーンに釘付けになろうってなもの。そういった意味で、この『ヤング・ゼネレーション』は僕の大好きな作品。なんたって主人公のデイブを演じたデニス・クリストファーが可愛くってイイのである。

小さな田舎町で高校を卒業してブラブラしている4人組(デニス・クリストファー、デニス・クエイド、ダニエル・スターン、ジャッキー・アール・ヘイリー)。この町は元々石切り場があり、その産業に携わる人々が暮らしていたが、石は不必要なものとなり閉鎖された石切り場には水が溜まり池になっている。そこがデイブたちの遊び場だった。デイブは自転車好きが高じて自転車競技が盛んな国であるイタリアかぶれ。父親は自転車とイタリアかぶれのデイブを苦々しく思っている。そんなある日、この町にある大学に通う女子大生キャサリンに一目惚れ。イタリア人になり済まして熱烈な愛の告白をしたデイブであったが…というお話。

まぁ、他愛ないと言えば他愛ないのだが、デイブがあまりにもナイスキャラで、しかも嫌味のない変わり者というのがいい。性格は真っ直ぐでひねくれていないのが観客にとって感情移入しやすい青年。自転車競技と恋が物語の中心なのだが、彼の両親とのやりとりや他所からきている大学生への劣等感や反発という心の葛藤まで描かれており作品を深いものにしている。

基本的には軽いタッチの青春コメディなので気楽に観られる。アカデミー作品賞にノミネートされ、脚本賞を受賞した作品でもあり、人気が高かったので後にテレビドラマ化もされた。残念なことにデニス・クリストファーはこの作品以降は作品に恵まれず、すっかり見かけなくなってしまったが、仲間役のデニス・クエイドやジャッキー・アール・ヘイリーは今も活躍中。ピーター・イエーツ監督1979年の快作である。

それにしても公開時は最後に映画と無関係な日本語の歌が無理矢理つけられていた記憶がある。いったい配給会社がいくら貰ったのか分からないが、ひどく憤慨したものである。DVDを買ったはいいけど、その歌がついていたらどうしようと危惧したが、幸いなことにそれは入っていなかった。そんな愚かな行為は今後絶対やめていただきたいものだ。(…と、今更文句言ってるのも愚かな行為?)

ヤングゼネレーション.gif


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「ブロードキャスト・ニュース」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

BCN.jpg今年も早4月。学校や会社で新たなスタートをきる人も多く、なにかと変わり目なこの時期。テレビでは慣れ親しんだ番組が終わり、新番組が始まる改編期。

…ってことで、今月のおススメはワシントンにあるニュース専門のテレビ局を舞台にしたジェームズ・L・ブルックス監督・脚本の1987年度作品『ブロードキャスト・ニュース』。

ジェーン(ホリー・ハンター)はニュース専門テレビ局の敏腕ディレクター。賢く仕事もできるが、気が強く時には強引過ぎる面もある。彼女の相棒のアナウンサー・アーロン(アルバート・ブルックス)は頭の良さは周囲も認めるところだが、人気が上がらずあまり重要な仕事が与えられず不満を持っている。密かにジェーンに思いを寄せているが、ジェーンはアーロンを仕事の相棒としか思っていない。そんなワシントンのテレビ局に地方のスポーツキャスターであったトム(ウィリアム・ハート)が転職してくる。トムは頭の出来は良くないが、ルックスが良く視聴者の心を掴むことにかけては秀でていた。高学歴のジェーンやアーロンはトムを馬鹿にした態度をとっていたが、次第にトムが局内で中心のアナウンサーになっていくと同時に、ジェーンはトムに惹かれていき…というお話。

この主要人物3人の恋と仕事の三角関係が物語の軸になっており、テレビ局の舞台裏のドタバタ振りや愛憎渦巻く人間関係が面白可笑しく描かれている。特筆すべき点は主役級の3人の誰ひとりとして共感できるタイプではないものの、物語の面白さに引き込まれてしまう作品になっていることである。ジェーンとアーロンは頭の良さを鼻にかけたタイプで、観客が一番共感できそうなトムは今ひとつ何を考えているのか分からない人物像。そんな3人の目指す所はネットワークの中心であるニューヨーク局のアンカーマン(ジャック・ニコルソン)に認められて、ニューヨークで仕事をすることなのだが、コスト削減のために大リストラが行われることになり、ワシントン局は大混乱になっていく。

単純に言えばオフィスラブ物なのだが、テレビ局という特異な仕事場が舞台になっているため、ありきたりな三角関係のドラマには思えない。3人の中では特にホリー・ハンターが小柄ながらバイタリティ溢れる女性像を好演しており、性格は問題あっても魅力的を失わせていないのが作品の成功の最大要因になっている。

毎日目にするテレビ番組の裏側を覗けるこの作品、野次馬的にも楽しめるのでおススメしたい。

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「アメリカの夜」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

アメリカの夜チラシ.JPG1974年度アカデミー外国語映画賞に輝いたフランソワ・トリュフォー監督の名作。初公開時にはタイトルの前に副題がついて『映画に愛をこめて アメリカの夜』だったが、どうにもこれが鬱陶しい。

物語はイギリス人のパメラ(ジャクリーン・ビセット)と結婚したフランス人のアルフォンス(ジャン=ピエール・レオ)が、妻を両親に紹介するため故郷に戻ったところ、父親のアレクサンドル(ジャン=ピエール・オーモン)とパメラが恋に落ちてしまい、駆け落ちしてしまった。残されたアルフォンスと母親のセヴリーヌ(ヴァレンチナ・コルテーゼ)は…といった内容の映画『パメラを紹介します』を撮っている撮影隊の様子を描いたもの。一本の作品を撮影していく過程で監督(フランソワ・トリュフォー自ら監督役で出演している)やスタッフに降りかかる数々のトラブル。そして役者の仕事と私生活の苦悩が撮影の進行を阻むようになり、現場は混乱の極みになっていく。

監督で監督役も兼ねているF・トリュフォーのモノローグが要所で入るため、映画の視点は監督にあることになるのだが、必ずしもクローズアップされてはおらず、スタッフやキャストたちが同じくらいの比重で描かれる群像劇となっている。あえて作品の核になるものを探すなら、みんなで取り組んでいる映画撮影そのものということになるのだろう。

タイトルの『アメリカの夜』とは、カメラのレンズにフィルターをかけ、昼に撮影して夜のように写す当時のアメリカ式撮影方法を指している。映画の虚構、胡散臭さみたいなニュアンスが含まれており、劇中でも映画スタッフをなじる女性も登場し、トリュフォーの自嘲気味な面も感じられるが、そんな嘘を必死に創り上げようとしている人々の姿が愛情込めて描かれており、最後に撮影が終わって各々が別れていく場面は感動的である。

僕はこの作品を10代の頃に観た。そして自分も作品を創ってみたい、映画の仕事をしてみたいと思い憧れた。残念ながら若き日の夢は実現しなかったが、改めてこの作品を観てみると当時の気持ちがよみがえってくる。こんな不可思議な世界に身を投じてみたいと思えてくる。そんな気持ちにさせてくれる『アメリカの夜』は永遠の青春映画なのかもしれない。例えどんな年齢の人でも、映画を撮るという行為が人の気持ちを若くすると思えるからである。

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「アパートの鍵貸します」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

今年も残すところ、あとひと月未満。仕事が忙しくなる中、クリスマスだの忘年会だの正月の準備とかあったりして実に忙しない日々が続く。そんなさ中にあって、時節柄つい思い出し観たくなる映画が『アパートの鍵貸します』。名匠ビリー・ワイルダー監督による1960年度作品で、アカデミー作品賞や監督賞など6部門受賞している傑作。

とは言っても堅苦しさなど全くなく、気軽に楽しめる都会のラブ・コメディ。コメディと書いたけど主人公のC・C・バクスター(ジャック・レモン)の気持ちを考えれば笑うに笑えない設定ではある。自分の片思いの相手(シャーリー・マクレーン)が上司(フレッド・マクマレイ)の浮気相手だったというのだから心中穏やかなはずがない。しかしジャック・レモンのひょうきんさや軽やかさにより、重苦しさは作品からは感じられない。

物語は出世と引き換えに上司である課長4人に自分のアパートを貸して浮気の手伝いをしているC・C・バクスターが、さらに上役である部長にまで部屋を貸すこととなり、ますます社内での地位を確かなものにしていくのだが、部長の愛人は自分が憧れているエレベーターガールであった、というもの。

こんな都会のささやかな話もビリー・ワイルダー監督の手にかかると見事な作品となる。落語の世界で名人という言葉が使われるが、まさにそんな名称がピッタリくる名人芸。小道具の使い方や人間関係の伏線の張り方など、映画のお手本のような素晴らしさ。俳優もジャック・レモンの軽妙さとシャーリー・マクレーンのボーイッシュなキュートさが素敵で、作品の魅力をさらに持ちあげている。もしこの二人のコンビじゃなければ、何年経っても語り継がれる作品にはならなかったのではなかろうか。

こんな愛すべき名作なのに案外見落としている映画ファンも少なくない(僕の交友関係調べ)。レンタルショップでも片隅の目立たない場所に、埃を被ってひっそりと眠っていたりするのが実に残念。クリスマスや新年の様子を作品に取り入れているので、特に独りでこの時期をを迎えそうな人にお勧めしたい。沈んだ気持ちにポッと明かりが灯るような作品だから。

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「七人の侍」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

七人の侍 [Blu-ray]黒澤明監督『七人の侍』、とタイトルを書いてみて、果たしてこんな名作中の名作を敢えてこのブログで紹介するのも野暮な気がしてくるのだが、先月発売されたBlu-rey Discを購入し観賞してみたところ、画質・音質があまりにも素晴らしく、思わず取り上げたくなってしまった。それに3時間27分という長尺の作品がたった1枚のディスクに収まってしまうのだから、時代も進歩したものだと感慨深い。思えば最初に買った『七人の侍』のソフトはレーザーディスク。それもアメリカ製だったのだが、確か記憶では4枚組で表裏ひっくり返して使うもの。そんな中断して作業する鬱陶しさも不要。入れてポンすりゃ最後までゆったり観られるのが嬉しい。

それにしても劇場、レーザーディスク、DVDと過去何度観たか分からない『七人の侍』なのだが、今まで観た中で(映画館での鑑賞も含む)一番良い状態で観られたんじゃなかろうか。画面は陰影がくっきりして鮮明。逆に良すぎて以前はあまり気にならなかったカツラとの境目まで見えてしまい、これはマイナスポイント。劣悪だった音質も格段にクリアになり、今まで聞き取れなかった台詞もかなり分かるようになった。特に菊千代(三船敏郎)が何てわめいてるのかが、半分くらいは分かるようになったことだけでも画期的である。

この作品については語りつくされているので、あまり詳しく書く気もしないのだが、クライマックスの豪雨の中での決戦が有名だが、最大の魅力は役者(キャラクター)にあると思う。野武士に対抗するため農民に雇われた侍7名。どれも個性的でキャラクターがしっかりしている分、各々への思い入れが深くなり観客と痛みが共有できるため他人事のように思えなくなってくる。特に粗野な菊千代(三船敏郎)、知将の勘兵衛(志村喬)、剣豪の久蔵(宮口精二)、若侍で修業の身の勝四郎(木村功)が印象に深いのだが、農民の利吉(土屋嘉男)や与平(左卜全)や長老(高堂国典)の熱演があってこそ侍たちも生きてくる。3時間27分の長さだが、その多くを人間ドラマに割いていることが何度観ても観飽きない奥の深い作品になった要因であろう。

何はともあれ、『七人の侍』に関して言いたいことはひとつだけ。

この作品を観ずして映画ファンを名乗るなかれ。

七人の侍.gif


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「時計じかけのオレンジ」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

時計じかけのオレンジ [Blu-ray]量販店で『時計じかけのオレンジ』のBlu-ray Diskを見つけ、早速購入し随分久しぶりに鑑賞した。さわりだけ観るつもりだったのだが、途中で止められず、結局最後まで観てしまった。1971年の作品なのに全く古びれることなく、今尚鮮烈な内容と映像に改めて唸った。 

スタンリー・キューブリック監督の作品を観る度に、強烈な皮肉に満ちた毒のある内容と、映像の素晴らしさ、音楽(選曲)のセンスに圧倒される。中でもこの『時計じかけのオレンジ』はそんな特徴が際立った、唯一無二の作品ではなかろうか。

基本的にキューブリック監督作品には「人間とは何でこんなに愚か者なのか」というテーマが根底にあるように思える。人間賛歌とは真逆の空虚な絶望感が全編に満ちている。他の監督はそんな中でも何とか光を見出そうとするものだが、キューブリック監督にはそれがない。徹底した性悪説。そこには人間の情など入る隙がない。

この『時計じかけのオレンジ』は、殺人、強盗、強姦を楽しむ冷血漢の主人公アレックス(マルコム・マクドウェル)の一人称という、悪魔の視点とも思える構成になっている。悪逆非道な行いを繰り返すアレックスが、少年院に入れられて、やがて政治の道具に使われるようになり、また…という内容には戦慄を覚える。映像表現は斬新な試みもされているが、そこだけ浮くようなことはなく、トータル的に良くまとまった印象になっているのは見事である。

初めてこの作品を劇場で観た時は、ラストのクレジットまで圧倒的なイメージで、しばらく椅子から立ち上がれないほどの衝撃を受けた。ぜひご覧になっていない方は、この凄い作品を体験してほしい。

でも、僕の大好きな『雨に唄えば』を嫌いにならないでね。

時計じかけのオレンジ.gif


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「プロミスト・ランド 〈青春の絆〉」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

プロミストランド前売り.jpgこの『プロミスト・ランド』が日本で公開されたのは、創られてから2年が経った1989年。おりしもバブル景気で日本中が浮かれていた真っ只中。そんな時代の空気に合わないと判断されたのだろうか、都内では新宿三丁目の東映封切り館(今はバルト9)の2階にあった劇場1館でひっそりと公開された作品で、おそらくそこで観た人は僕を含めてかなり少なかったことだろう。

内容は小さな町の高校の同級生2名にまつわる話で、ひとりはバスケットのスター選手、ひとりは存在感の薄い落ちこぼれ。この2名は親友で、夫々が夢を持って都会に出ていくのだが、お互いに志は叶わず、ひとりは警察官、ひとりは犯罪者になり、再び育った町で出会うというもの。

何だかブルース・スプリングスティーンの歌詞にありそうなストーリーなのだが、当時は遅れてきたアメリカン・ニューシネマみたいなビターな内容が配給会社に嫌われたのか、実に手を抜いた宣伝しかしてもらえなかったようだ。

主要人物の落ちこぼれを演じたのがキーファー・サザーランド。そして彼が都会から連れて来たあばずれな赤毛の彼女を演じたのがメグ・ライアン。既に『恋人たちの予感』が公開されてブレイクしていた彼女が、何でこんな汚れ役をと当時は驚いたものだが、調べてみると創られたのはこちらが先だった。その後、知的な女性を演じることの多かったメグ・ライアンのビッチな演技は見もの。

『青春の絆』なんて爽やかな副題がついてはいるが、実際は「青春の悔恨」の方が合っているように思える、重く暗いトーンの作品ではあるが、観た人には長く心に残る秀作になっている。

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「北国の帝王」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

北国の帝王 [DVD]先月初めてDVD化された『北国の帝王』。男臭い世界を描かせたら天下一品のロバート・アルドリッチ監督による、1973年製作の傑作B級アクション映画である。僕はこの作品はずいぶん前にテレビで観た。しかし何となくチャンネルをいじっていたらやってたのでそのまま観た、という不完全極まりない感じでの鑑賞だったため、前半部分は観ていない。それでも充分面白かったのだが、以降この作品をちゃんと観る機会に恵まれなかったので気にはなっていた。しかしこのDVDのお陰で、ようやく作品全てを鑑賞することができた。

未曾有の大不況だった時代のアメリカ(今じゃないよ)。職を失った男たちは浮浪者になり、ホーボーと呼ばれていた。彼らは列車を無賃乗車して街から街へと移動してはブラブラしていた。鉄道側もそんなホーボーたちに手を焼き、何とか食い止めようとしていた。特に19号列車の鬼車掌ジャック(アーネスト・ボーグナイン)は徹底的で、彼の列車に無賃乗車しようとし、阻止された揚句に命を落としたホーボーも2ケタを超えている。その19号列車に無賃乗車すると、タダ乗り王のAナンバーワン(リー・マーヴィン)が予告状を叩きつけた。そこにホーボー界でビッグになろうと野心に燃える若者シガレット(キース・キャラダイン)も加わり、男と男の意地を賭けた戦いが始まった…というお話。

北国の帝王チラシB.JPG簡単に言えば無賃乗車男と鬼車掌が対決する話であり、よくよく考えればセコイことこの上ない。でもこんな題材でも面白く見せてしまうのは監督の力量と役者の魅力であろう。特に悪役である車掌を演じたアーネスト・ボーグナインの存在感は唯一無二で、彼の存在なしにはクライマックスはこれほど盛り上がらなかったに違いない。おそらく彼ほどの個性派は今後現れないかもしれないと思えるほどに印象的である。

それにしてもよくこんなロジャー・コーマン的な企画が、大手の映画会社(20世紀フォックス)で通ったものだと感心する。この作品が創られた1973年当時は、まだベトナム戦争が泥沼化していた頃で、戦争に反対する反体制のムーブメントの真っ盛りだった背景も大きかったのかもしれない。何たってタダ乗りする浮浪者が主役で、悪役は職務を全うする(し過ぎなのだが)車掌なのだから、今からすればユニークな設定である。

まぁ、単純明快なストーリーなので能書きはこれくらいにして、手に汗握りながらいい歳こいたオッサンたちのガチンコバトルを楽しんでもらいたい。

北国の帝王.gif


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「AKIRA」 [映画-今月のおススメ]

量販店で見かけ、ちょっと高かったけど結局買ってしまった『AKIRA』のBlu-ray Disc。家に帰ってちょっとだけ観てみようと思ったら、面白くて途中で止められずに最後まで一気に観てしまった。

ショート・ピース (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)大友克洋の漫画に最初に出会ったのは随分早く、高校の同級生が短編集の『ショートピース』を貸してくれたのがきっかけだった。その頃はまだ「知る人ぞ知る」存在で、後年まさか世界的に著名な凄い作家になるとは思いもしなかった。初期は日常的だけどヘンな世界観が面白かったが、数年後には『童夢』を発表し「この人って凄かったんだ」と驚嘆した。『童夢』はまさに映画の絵コンテを見るかのごとく、紙面が動いているかのような躍動感に溢れた傑作だった。

Akira (Part1) (KCデラックス 11)それから間もなく発表されたのが『AKIRA』で、これももちろん凄い作品ではあったが、既に『童夢』にかなり驚かされた後だったので、『童夢』のスケールを大きくした延長線上にある作品といった認識であった。もちろんこの2作品が日本漫画界の金字塔であると思っているし、大友克洋の作品をほぼリアルタイムで接することができた幸運を素直に喜んでいる。

AKIRA前売りB.JPGそんな『AKIRA』が大友克洋自身の手によりアニメーションになり、ファンとしてはもちろん封切りの劇場で鑑賞した。あの膨大なスケールの物語が映画の枠に収まるのか興味津々であったが、原作を大きく改定し、ちゃんと枠に収まっていたのには驚いた。ストーリーの大きな流れは変えていないが、キャラクター設定を含めた全面改訂とも言える作品であったのには面食らった。当時としては先端的な映像表現に加えて、芸能山城組による音楽が実に効果的で、しばらくは映像プラス音楽が頭の中から離れなかった。

しかし、その後はマンガを読み返すことはあっても映画を観直すことはしなかったので、今回は約20年ぶりに観直すことになった。実は原作を大きく変えていたことも忘れていて、展開も覚えていなかったので、ついつい時を忘れて観入ってしまった。そして、そのスケールの大きさと迫力に圧倒されたのだった。何年経っても色褪せない完成度は、この時既に日本のアニメーションは頂点に達していたと思わせてくれる。心拍数を上げるかのような芸能山城組の煽るような音楽も、21世紀の今でも新鮮である。

ぜひ未見の人に観てもらいたい作品である。できたら映像、音質と最高な状態であるBlu-rayで体感して、凄さを知ってもらいたい。

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タグ:大友克洋
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「ブレックファスト・クラブ」(今月のおススメ) [映画-今月のおススメ]

ブレックファスト・クラブ前売り券.jpg80年代半ば、アメリカの若手俳優たちが主演した映画が本国でヒットし、彼らはひとまとめに「ブラッド・パック」と呼ばれ、ムーブメントとなった。そんな中から『セント・エルモス・ファイアー』のような今でも人気のある作品が生まれたのだが、僕はその「ブラッド・パック映画」の中ではこの『ブレックファスト・クラブ』が最良の作品だと思っている。日本ではアメリカの青春映画なんて当る訳ないと思われたのか、この作品は久しくお蔵入りしていたのだが、細々と小規模で公開された『セント・エルモス・ファイアー』が思わぬヒットを飛ばし、そのお陰でこの作品も漸く公開されることになったのだった。とは言え、よっぽど配給会社に嫌われていたのだろうか、都内ではミラノ座の上にある小さな劇場(当時は名画座ミラノと呼ばれていた)の単館でひっそりと公開されたのだった。興行成績はどうだったのか分らないが、ともかく面白く、且つ感銘したことを覚えている。

確かに地味な作品ではある。主な出演者は高校生役5名、教師1名、用務員1名とこじんまりしており、ビッグ・ネームは一人も出ていない。しかも映画は学校から一度も出ることはなく、さらにほとんど図書館一室での出来事の映画なのである。こんな地味で舞台劇のような設定ではあるが、実に映画的な躍動感に満ちた作品になっている。

何と言っても監督でもあるジョン・ヒューズの脚本の面白さが映画を支えている。バラバラの個性の高校生5名が、それぞれの理由で土曜の休日の学校に呼び出され、罰として図書館に押し込められ、「自分とは何者か」というテーマで作文を書くよう強制される。最初はあまり関心のない5名も、次第に運命共同体の意識が芽生え、徐々に心を開いていく。やがて反目したりしながらも本音で語り合うようになっていく。それがお互いを理解していくと同時に自分探しにもなっていく。

監督のジョン・ヒューズはあくまで子供側の視点から描いており、決して大人側からの教訓話にはしていない。教師は敵でありながら、教師の出した作文のテーマを探っていくことになる展開が見事である。冒頭、4人の生徒は親の車で送られてくるのだが、そのちょっとした親とのやり取りや乗っている車の車種で、それぞれのキャラクターが分ってしまう演出が出色である。全編テンポ良く、溌剌とした演出が心地いい。

生徒役の5人も実に良く、迫真の演技には思わず映画であることを忘れてしまいそうになるくらいである。ひ弱な秀才役のアンソニー・マイケル・ホール、裕福な家庭のお嬢さん役のモリー・リングウォルドはジョン・ヒューズの前作『素敵な片思い』から続けての出演。不良のジャド・ネルソン、スポーツ馬鹿のエミリオ・エステヴェス、不思議ちゃんのアリー・シーディは『セント・エルモス・ファイアー』でも共演して大学を卒業したばかりの若者を演じている。

こんな作品が「知る人ぞ知る」映画になってしまうのは惜しい。ぜひ機会があったらみてもらいたい作品である。

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