So-net無料ブログ作成
検索選択

「クロッシング」 [映画(2010)]

警察官はつらいよ

ってタイトルにした方がピッタリしそうな映画(でも、しちゃダメよ)。

犯罪多発地域であるニューヨークのブルックリンにある3人の警官の公私における苦悩を描いた硬派な作品になっている。

エディ(リチャード・ギア)は目前で犯罪が起こっても管轄外であったり勤務時間外であれば、見て見ぬふりをする事なかれ主義の警官。当然大した実績もないまま残り1週間で定年を迎えようとしていた。家族のない彼に残されたものは孤独のみ…

サル(イーサン・ホーク)は病気の妻と5人の子供に囲まれ、家族を大切にする麻薬捜査官。しかし薄給ゆえに妻の病気の原因であるカビの生えた家から引っ越すこともままならない。そんな中、捜査中に目にした大金に目が眩んでしまい…

タンゴ(ドン・チードル)は潜入捜査官。ギャング組織に入り込み情報を流しているも、ボスのキャズ(ウェズリー・スナイプス)と友情が芽生えてしまい、そのキャズを逮捕するよう上司(エレン・バーキン)から指令され苦悩した揚句…

こんな3人の警察官のエピソードが並行して語られ、それがやがて交差してい…かないんだよなぁ、これが。同じ場所にいることはあっても、彼らの人生が交わらないので物語として盛り上がらず面白味に欠けてしまった印象を受けた。そして3つのエピソードに共通する内容が「警察官はつらいよ」なので、人間ドラマよりもそちらの方が印象に残ってしまう結果に留まった。真面目な社会派の作品なのだが、多少の「あざとさ」みたいなものをアントワン・フークア監督が持ち合わせていた方が映画としては良くなったような気がしてしまう。

そりゃぁ、あざといだけの監督よりはよっぽどマシなんだけどさ(誰とは言わないけど)。

クロッシング.gif


「国家代表!?」 [映画(2010)]

03地雷.gifスキージャンプ競技韓国代表チームの実話をもとに創られたコメディタッチの韓国映画。ウインタースポーツの映画といえば先ず『クールランニング』が思い出されるのだが、この『国家代表!?』は…

思いっきりパクってる!

まぁ、参考にしたって程度なら「パクる」なんて人聞きの悪いことは書かなかったけど、一応この記事を書くにあたって『クールランニング』を改めて観直してみて、こんなにいっぱいパクってたのかと驚いた次第。ただ、観賞後の印象が異なるのは、こちらの方が格段に

泥臭い

からであり、どうにもこうにもしつこさが鼻について笑えず、感動もできずの中途半端なばった物作品であった。

1996年。幼少の頃、アメリカに里子に出された米国名ボブ(ハ・ジョンウ)は実母を探しに韓国に戻っていた。テレビに出演し母親に呼び掛けるも反応はなし。そんな落胆したボブの前に現れたのはジャンプ競技のコーチ・パン(“レオナルド熊似の”ソン・ドンイル)であった。韓国では競技者のいないジャンプの韓国代表チームを結成すべく人集めをしており、元米国アルペンスキーのジュニア代表だったボブに白羽の矢を立てたのだった。代表になれば母親に会えるかもと考えたボブは代表チームに入り、パンコーチと共にスカウトを開始。高校時代はスキーの代表選手だったが薬物で出場停止になったフンチョル(キム・ドンウク)らを口説いて、ようやくチームが組める4名になった。しかしみんなジャンプがどんなものだか知らない。パンコーチが競技の様子をビデオで見せたところ、転倒するシーンの連続に恐れをなしたフンチョルは辞めると言いだした。そこにパンコーチの美人の娘スヨン(“観月ありさ似の”イ・ウンソン)が現れた途端にフンチョルの態度は一転し…ってなお話。

国家代表ポスター.jpgここまでだと『クールランニング』とは違うと思われるかもしれないが、メンバーに父親から出場を反対されている金持ちの息子がいたり、変わったことをする特訓があったり、競技を説明するのに危ないシーン連発のビデオを見せてしまったり、オリンピック出場が危うくなったり、酒場で他国の選手に馬鹿にされて大喧嘩になったりと、どこかで観たような(って『クールランニング』なんだけどね)シーンのオンパレード。

加えて気に入らなかったのがジャンプ競技の扱い。監督・脚本のキム・ヨンファらがどれほどこの競技を取材して深く掘り下げようとしたか…がまったくなされていないように感じた。(ネタバレになるけど、ここまで読んでくれた人はもう観ないでしょ?)だいたいチームであんなに何人も転倒したら、例え一時でも上位に食い込むなんてことはあり得ない。おそらく韓国の観客はジャンプ競技を知らないと思って創っているから、こんな出鱈目でもまかり通ると思ったんだろうけど…

こちとら笠谷の頃から観てる年期の入った観客だぜ

ってなもんなので、こんな展開は納得いかない。いくらクライマックスを盛り上げようとしてもシラケる一方。イラッとした気分しか残りゃしない。

それにしても舞台となった長野オリンピックで、原田の大ジャンプに涙した裏でこんなこともあったんだね。映画の内容は大ウソでも、韓国のジャンプチームが初出場したことだけは事実らしい。もっとも当時はそんなことはどうでもよかったんだけどね。

国家代表.gif


「ナイト&デイ」 [映画(2010)]

楽しければいいじゃん!

ってくらい娯楽に徹したラブコメアクション。スピーディな展開に、あれよあれよという間にエンディング。超人的なスパイのトム・クルーズに、華を添えただけじゃなく、しっかり見せ場も用意されたキャメロン・ディアス。飄々としたトムに十八番である好色発情キャラのキャメちゃんならコメディとしては最強のコンビ。手際の良さとテンポの良さが光るジェームズ・マンゴールド監督の演出に乗っかって一気に突っ走るジェットコースター・ムービーに文句なし。

こんな作品に細々したこと言うのは野暮ってもの。観終わればきれいさっぱり何も残らないけど、しばし日常を忘れるにはピッタンコな映画じゃない?

入場料分、損はさせないよっ!

…と創り手に代わって言ってみた。

ナイト&デイ.gif


「フォロー・ミー」〈午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本〉 [映画(2010)]

今年の2月から全国のシネコン25館で催されている〈午前十時の映画祭〉に先日初めて出かけてみた。この企画で上映される50本の多くが名作と呼ばれている作品なのでハズレはなかろう(全部観た訳じゃないから断言はしないけど)。へたな新作を観るくらいなら、ここで紹介されている未見の旧作を観る方がよっぽど有意義ではなかろうか。今回観賞したのは1972年に創られた、『第三の男』で有名なキャロル・リード監督の遺作『フォロー・ミー』。

話は脱線するが、僕の大学の同級生に学内では変人で有名だったSという奴がいた。彼は僕など足元にも及ばない超映画マニアで、新作には見向きもせず、毎日京橋のフィルムセンターに通っては大昔のサイレント映画などの旧作を貪っていた。こんなSは変わり者故、周囲からは敬遠されていたのだが、僕はそんなSを面白がって意図的に近づいては映画の話をしていた。そんなある日、僕がSに「新作には興味がないのか」と尋ねたところ、

初めて観る映画はすべて新作

と意外にもカッコイイ言葉が返ってきた。ちょっと決まり過ぎている気がしたので、これがSの言葉なのか誰かの受け売りなのか怪しいところではあったのだが、彼のメチャクチャな言動の中では唯一感銘を受けたものだったため、今でも記憶に残っている。

今回観た『フォロー・ミー』を簡単に紹介すると…

ロンドンの会計士チャールズ(マイケル・ジェイストン)は妻のベリンダ(ミア・ファロー)が度々家を空けるため浮気をしているのではないかと疑い、その調査を探偵事務所に依頼していた。ある日チャールズの前に現れた不審な男。彼の名ははクリストフォルー(トポル)。この件を担当することになった探偵であった。やがて調査結果の報告が。ベリンダは確かに男と会っていた。その男とはクリストフォルーだった…!? ってなお話。

テレビで断片を観ていたのだが、全編通して観るのは今回が初。よくできた脚本とトポルを筆頭とした役者が魅力的で、素晴らしい作品であることを再確認できた。舞台となるロンドンの街も効果的で、登場人物が限られ大がかりな展開もないけど面白く、小品の鏡のような映画であった。

それにしても午前10時からってキツイな。平日は無理だし、休日でもそのくらいの時間までは家でまったりしていたいし。夕方や夜にもう一度上映してくれるならもっと足を運べるのに。来年は〈午後十時の映画祭〉って企画でどうすか?

(イラストはそのうち…)


「ミックマック」 [映画(2010)]

『デリカテッセン』を観て以来、ジャン=ピエール・ジュネ監督の映像センスと世界観に惹かれ、新作の『ミックマック』も大いなる期待を胸に何カ月も前から公開日を楽しみにしていた。

…なんつって。

確かに『デリカテッセン』は大好きな映画だったけど、それからこの『ミックマック』までジャン=ピエール・ジュネの作品はヒットした『アメリ』さえ観ていない有様(またこのパターン)。したがって随分久しぶりに目にしたのだが、映像のセンスはやっぱり好き。だけど物語としてはいささか感覚の違いもあったりして…

レンタルビデオ店の店員バジル(ダニー・ブーン)はある日発砲事件に巻き込まれて重体になってしまう。命は取り留めたものの頭の中に撃ち込まれた銃弾を取り出せず残ったままで退院。アパートに戻ってみると部屋はすでになくビデオレンタル店にも代わりの店員がすでに雇われていた。そんなホームレスになってしまったバジルに声をかけてくれた人物が現れる。ギロチン刑でも死ななかったプラカール(ジャン=ピエール・マリエル)で、彼は自分の棲みかである廃品の山の中にある家へとバジルを招いた。そこには計算の達人のカルキュレット(マリー・ジュリー・ボー)、体が柔らかく冷蔵庫にも入れてしまう軟体女(ジュリー・フェリエ)をはじめ変な人物ばかりが集まって暮らしていた。そこに住み始めたバジルは、ある日自分の頭に残っている銃弾を創った会社と、彼の父が地雷処理に失敗して命を落とした地雷を創った会社が向かい合わせで建っていることを知る。復讐心に火がついたバジルはこの2社を潰すために行動を開始する…という物語。

お国柄の違いってことじゃないと思うけど、復讐の対象が人ではなく武器会社というのが納得いくようないかないような。いささか逆恨みのような気がする上に、そこまで徹底的にやれるのかって違和感もあった。ジャン・ピエール・ジュネ監督の映像センスや世界観は健在で、なんちゃってファンでもそれに関しては堪能できるのだが、物語に乗り切れなかったため「好き」までいかなかったのが残念。

まぁ、ジャン=ピエール・ジュネ監督がすっかり変わってしまったという訳ではないので、とりあえず次回作に期待しよう(その前に『アメリ』観ろよと自分に言いたい)。

ミックマック.gif


「君に届け」 [映画(2010)]

この『君に届け』を観に行ったシネコンのチケット売り場で順番を待っていたら、急にこの作品のタイトルを告げるのが恥ずかしく思えてきた。いいオッサンが“初恋胸キュンムービー”と思われる題名を口にするくらいなら、エロ映画の下品な題名の方がよっぽど恥ずかしくないような気がしてきた。ましてや窓口にはうら若き女性が並んでいる…いや、その間に挟まっているヒョロッとした若い兄ちゃんに言う方がより屈辱に思える。いよいよ次は自分の番になり、あいつに当たらないことをひたすら祈った。「なら、観なきゃいいだろ」と思われるかもしれないが、『虹の女神』が気に入った熊澤尚人監督の新作なので、やはり観たい。運良く兄ちゃんは避けられ、お姉ちゃんから目を合わさずにチケットを買って、いざ劇場内へ…

黒沼爽子(くろぬまさわこ:多部未華子)は真面目で一日一善を実行している心優しい女の子なのだが、大人しく控えめで暗めの性格で髪が長いことも災いし、(『リング』の)貞子とあだ名を付けられ、周囲から不気味がられていた。そんな爽子も高校生となり、入学式の日に学校への道を教えてあげた爽やかを絵に描いて額縁に入れたような風早翔太(三浦春馬)と同級生となった。風早クンはクラスの人気者。爽子は相変わらず気味悪がられてクラスで浮いた存在。しかし風早クンは目立たないところで善行をする爽子に対して好意を持つようになっていく。夏になり肝試をきっかけに千鶴(蓮佛美沙子)とあやね(夏菜)そして風早クンがはじかれ者の爽子と打ち解けていく。そんな様子が風早に思いを寄せる美少女のくるみ(桐谷美玲)の目にとまり…ってなお話。

この映画の原作は椎名軽穂による同名の少女漫画。実はこの漫画は読んでいないのだが、妹がいるので少女漫画は随分読んでいる。とは言っても〈週刊マーガレット〉に『エースをねらえ!』が連載されていた頃だからずっと昔の話。妹は毎号欠かさず〈マーガレット〉と〈少女フレンド〉を買っていたので、読み終わると僕も借りて毎号欠かさず読んでいた(ちなみに『つる姫じゃ~!』が好きだった)。その当時の僕はまとめて読める単行本派だったので週刊の少年漫画雑誌は買っていなかった。したがって定期的に読んでいたのは少年漫画ではなく少女漫画だったのだ。その当時の記憶だと“初恋胸キュン物語”は〈マーガレット〉よりも〈少女フレンド〉に多かったような印象があるのだが、この『君に届け』は〈マーガレット〉(但し〈別冊マーガレット〉だが)に連載されていたらしい。

原作はかなり人気の漫画らしいのだが、昔たくさんの少女漫画を読んだ身からすると、冴えない女の子がクラスで一番カッコイイ男の子に好かれるという

ちゃっかり玉の輿系(あるいは棚ぼた系

は、少女漫画のベタな定番パターンで、そんなに際立ったものには思えないのだが、最近の少女漫画事情は分からないので、案外このテの物語が廃れていたところでこんなベタな物語が新鮮に映ったということも考えられる。

ところで映画なのだが、さすがに熊澤監督、丁寧で繊細なタッチに好感を持った。正直なところ気恥ずかしさしか残らない作品になってやしないかと不安であったのだが、泣けるシーンもあったりして嬉しい誤算であった。何より漫画原作だと絵空事になりかねない極端なキャラクターを多部未華子の絶妙な演技によって説得力のある主人公になり得たことが成功の要因であろう。加えて少女漫画にありがちな「こんな奴いねーよ」と男なら思う“さわやか青年”役の三浦春馬。…いるんだね、こんな王子様のような人が。しかもわざとらしく映らないのが信じられないところ。そんな主要人物の脇に蓮佛美沙子ほか小さい役で東亜優や近野成美など若手で実績のある役者を配したのが映画に安定感を与えている。

最後に余談。主人公の母親役が富田“さびしんぼう”靖子だったのはちょっとショックだった。

…いいんです、分かる人だけ分かってもらえれば…

君に届け.gif


「青い青い空」 [映画(2010)]

01金ヒ熊賞.gif爽やかな感動作!

なんて映画のよくあるキャッチコピーみたいだけど、この『青い青い空』を一言で言い表すなら、これ以外の言葉が見つからないほど、タイトル通り青い青い空のような爽やかさが残る快作。

真子(しんこ:相葉香凛)は大学受験のことばかり口にする母(鈴木砂羽)に反発して1年以上口をきいていないちょっと頑固な高校2年生。親友のみさと(草刈麻有)はモデルを目指しオーディションを受けているがなかなか夢が叶わない。そんな二人がある日、駅で不良を懲らしめているヤンキー風の男(波岡一喜)を目撃する。実はこの男、真子たちが通う学校の臨時教員の八代であった。八代は書道パフォーマンスを披露し、自分が顧問になった書道部の勧誘をする。興味を持ったみさとが真子を誘って書道室を訪れると、そこにいたのはいじめられっ子で自閉症の三美子(橋本わかな)ひとりだけ。書道に興味のない真子にとってはドッチラケであったのだが、八代の指導で次第に書道の奥深さを知り気持ちが変わっていく。そんな中、書道パフォーマンス大会が行われることを知り、出場したくなった3人は規定の5名にするべく部員の募集を始める。まず目を付けたのは実力者のトン子(田辺愛美)、そして帰国子女ながら書道の実力もあるミチル(平沢いずみ)であったのだが…というお話。

太田監督の前作『ストロベリーフィールズ』は悲しい物語でありながら、ほろ苦くも暖かな気持ちになれる映画であった。それは主人公が儚い「友情」を通じて自分探しをしながら成長していく姿を描いた前向きなドラマであったからだろう。この『青い青い空』はストーリーは全く違うものの根底にあるテーマは同じ。真子(や他の登場人物)が自分探しをしながら周囲との軋轢を乗り越えて成長していく姿が描かれている。

それにしても不思議な映画である。観ている間、悲しい場面ではないのに涙がこぼれてくる。理屈では説明できない感動が沸きあがってくる。それほど重大なことが起こっている訳ではないのに心が震え、胸が締め付けられる。

おそらく太田映画の特徴として主人公(たち)と観客の距離感の近さがそうさせているのではなかろうか。真子の受けた感動がそのまま観客の心にダイレクトに伝わってきて、真子同様の感動を観客も受けているような気持ちになるのだと思う。なかなかこんな作品は他にはない。

相葉香凛、草刈麻有、橋本わかな、田辺愛美、平沢いずみ。草刈以外は知らない子ばっかりだが、彼女らの自然に見える演技が素晴らしく、彼女らの必死さに思わずスクリーンに引き込まれ、のめり込んでしまう。役を演じていると言うより役が彼女たちそのものであるかのような印象を受ける。先生役の波岡一喜もとても好感度高くまさに適役。そして一見敵役のような塩見三省も映画を引き締め、松坂慶子や長門裕之といった大物俳優も物語に深みを与えた。

言わば日本映画の良い部分だけ受け継いだ「日本映画はかくあるべき」と呼べる作品。10月9日からこの映画のロケ地である浜松で先行上映されるが、他はまだ決まっていない様子。地元の方はぜひ劇場に足を運んでほしい。自分の街でこんな素敵な作品が創られたことを喜んでほしい。そしてその輪が広がり日本中でこの作品が観られるようになることを切に願う。そうなれば僕も札幌でもう一度至福の時間が味わえるから。

青い青い空.gif


「彼とわたしの漂流日記」 [映画(2010)]

「都会のちょっといい話」的な韓国の小品。元々こんな映画は好きなタイプで『彼とわたしの漂流日記』にもヒ熊賞をつけようかと思ったけど、いささか最近出し過ぎの感があり賞も軽くなりつつある反省から、少しハードルを上げることに決めたので今回はガマンガマン。

仕事に失敗し多額の借金を抱え、恋人にも見捨てられてしまったキム(チョン・ジェヨン)は人生に絶望してソウル市内を流れる漢江〈ハンガン〉に身を投げた。…が、気がつくと砂浜に横たわっていた。自殺に失敗したキムの居場所は漢江の真ん中にある無人島。両岸から隔たった場所にあり、カナズチなキムは島から出られない。再び自殺しそこなったキムは開き直って原始的なサバイバル生活を始める。魚を獲り、鳥の卵を巣から盗み、キノコを食べ…最初はうまくいかないことも多かったが、次第に環境に順応していく。そんなキムの姿をカメラの望遠で観察しているわたし(チョン・リョウォン)。部屋に引きこもって3年経っている。しかしキムが砂浜に書いたHELLOのメッセージに応えたくなり、深夜に部屋を抜け出してキムの島の上に架かっている橋に向かった…ってな話。

都会の真ん中にある盲点のような無人島に目をつけた着眼点と、そこから出られなくなった男というアイディアがまず良い。前半はこの男の視点で描き、一本調子になりかけたところで彼をずっと見守っていた引きこもりの女性からの視点に変わる構成がユニークで素晴らしい。こんな視点の変化により登場人物の少ないせせこましい映画に広がりがあり、貧しい映画には思えなくなる。監督のイ・ヘジュンは大胆な試みをサラッと違和感なくやってのけ、実に見事でスマートな演出である。

無人島で孤独な生活を余儀なくされた男と、自ら世間から隔離した環境にいる孤独な女。そんな孤独という共通点で結ばれた二人の惹かれ合う姿にホロリ(までいかないけど…)。

おそらくこの作品が観られる地域はかなり限られるであろう。もし幸運にも近くで上映されたなら劇場に足を運んでほしい。埋もれさせてしまうには勿体ない!

彼とわたしの漂流日記.gif

やっぱりヒ熊賞を贈ればよかったかな…


「ガールフレンド・エクスペリエンス」 [映画(2010)]

ニューヨークの1時間2,000ドルもする高級デート嬢(まぁ、娼婦なんだが)チェルシー(サーシャ・グレイ)の日常を描いた作品で、物語らしい物語はなくドキュメント風に撮られた地味な映画

何を隠そう、この『ガールフレンド・エクスペリエンス』のスティーヴン・ソダーバーグ監督作品を観たのはデビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』以来。その後の作品には何故かご縁がなく『オーシャンズなんちゃら』すら観ていない。

ってことで、僕にとってのソダーバーグ監督の印象は「マイナーな映画を創ってる人」ってことになる。映画の雰囲気はアメリカ映画とは思えないようなヨーロッパ志向。主人公が娼婦であることからゴダールの『女と男のいる舗道』の影響を受けている、かも。(あ、ここテキトーに書いてるので気にしないでください)

主人公のチェルシーは高級娼婦なのでお客は地位の高い金持ちばかり。会話の内容も経済や政治に関することばかりで、そんなやり取りが延々と続いたりするので、上映時間77分と短い作品ながら長く感じた。まぁ、つまり…

退屈一歩手前

だったってこと。

いや、たまにはこんな映画があっていいと思うんだけどさ…

GFエクスペリエンス.gif


「トイ・ストーリー3」 [映画(2010)]

01金ヒ熊賞.gif記事を出すタイミング逸してるよね。「今さら?」って思ったでしょ。この夏の大ヒット映画だから、既にみんな(までいかないけど)観てるよね。でも混んでる映画館嫌いだから、今頃…でもしっかり3Dで。それよりも何よりも『1』『2』観ていなかったから、ずっと躊躇してたんだけど、きっとピクサーだから根拠はないけど大丈夫そうな気がしたので観てみた。まぁ、語り尽くされてるような気がするので、記事はサクッと簡単に。

予想通り泣けちまった。悲しい気持ちや嬉しい気持ちが入り混じった涙。いい歳こいたオヤジが泣いたりするのは恥ずかしいから、他人に気づかれないよう拭わずそのままに。涙は3Dメガネがせき止めてくれるはず。

きっと感動は物語だけじゃない。創り手の映画に対する、そしてキャラクターに対する愛が詰まっていたから心が震えたのだと思う。幸せな至福の時間。

ちょっと気になったのは悪役の扱い。悲しい過去によって歪んでしまった人物が主人公たちの行く手を阻むってのは、何となくピクサー映画ではワンパターンになってきているような気が…

まぁ、何はともあれ『1』『2』を観ていなくても大丈夫。もちろん観ていたら涙は華厳の滝級。観てね(って、もう公開終わっちゃうし、みんな観てるって)。

トイストーリー3.gif


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。